2.マニュアルを作るとアウトのラインを超えやすい?
ファストフードなどのチェーン店などはきっちりマニュアルを整備し、細かいチェック項目を作って、絶対にアウトのライン以下になることはないでしょう。
僕も学生時代ファストフード店でアルバイトをしていましたが、すごく理にかなったマニュアルで、穴がないと感じました。
チェーン店は常識を定型化し、従業員全員の常識として受け入れられるように教育をします。
では、個人店でそれは可能なのか?
メリットはあるのか?
1店舗だけの場合は、すべてをマニュアルで定義するメリットはあまりないと思います。
理由は、
○そもそもマニュアルを作るのが大変。
○細かい変更をするのが煩わしい。
○柔軟性に欠け、個人店の良さが損なわれる。
などのデメリットがあるので、新人アルバイトのトレーニングマニュアルや最低限の知識のマニュアル、部分的な作業マニュアル(ビールサーバーの洗浄方法マニュアル・レジ締マニュアルなど)はあったほうが良い、程度でしょう。
では、経営者の常識と感覚だけでやって良いのか?
そこが難しいところです。
そもそも、飲食店の常識と言われているモノ同士が、互いに矛盾していることは良くあります。
例えば
○回転率を上げるんだ!
○顧客満足度を上げるために、席はゆったりと。
○原価率を上げてでもウリになる商品を作るんだ!
○FL比率は60%に抑えるんだ!(FL比率がわからない方はググってください)
○人時売上高は最低3,500円以上!目指せ5,000円(人時売上高がわからない方はググってください)
○手間を惜しまずきっちり仕込みをすれば差別化しやすいし、単価も上がる。
(FL比率や人時売上高の正しい使い方、正しくない使い方は、改めて記事を書くつもりです。所詮、数値は状態を計測するための道具であって、本質ではない。状態を把握することはものすごく重要だが)
この矛盾する常識のどちらを取るのか?どちらも取らないのか?どちらも取って支離滅裂になるのか?
僕がいろいろな飲食店経営者を見てきた感覚で言えば、結局は経営者の感覚で決めていると思いました。
それで良いと思います。
それが経営者の個性であって、お店の個性になる。
そして、感覚で決めるからこそ決断が速い。
だからこそ、経営者にとって必要なことは、
○両方の常識を知っていること。
○お店にとってどちらが良いか判断すること。
○決めたら揺らがないこと。不都合があれば変更すること。(これ自体が矛盾しているが)
○狭い世界の常識にとらわれず、飲食業や料理から離れた別の視点や、大局を見る力を養うこと。
○人の意見は真摯に聞くこと。人の意見に惑わされないこと。(これも矛盾する)
結局は、経営者の器(うつわ)以上に店や従業員は育つことはない。と昔から言われていることに集約してしまう。
具体的にどうすれば効率的に常識の幅(教養と言っても良いかもしれない)を広げるか?
世の中に興味を持つ。
本を読む。
映画を見る。
いろんな人と話をする。
自分の意見を言う。
人の意見を聞く。
それしかないと思います。