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事業計画 失敗の原因 戦略 物件取得

失敗の原因|席が少なすぎる

せっかくの努力が実らない「客席少なすぎ問題」

枯れた大地

失敗の話ばかりを書いているので、なぜそんなことばかりを書いているのかを少し説明しておきます。
大失敗しない限り、成功のチャンスがある。
そして成功のイメージは人によって違うが、失敗はみんなだいたい一緒。
マキャベリさん曰く
「天国へ行く最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」
だそうです。
マキャベリ(マキャヴェッリ)さんは昔の偉い政治学者です。

この記事を読むメリット

○客席が少ないことの危険性が良くわかる。(マジで詰みます)

○適正な客席数にすると利益が上がって、夢がふくらむ。

この発表の内容

失敗の原因:想定通りにお客さんが来てくれても、利益が出せない

1.席数が少なすぎるとどうなる?

2.席数が少なすぎる原因

3.影響を計算してみる

4.まとめ

今回は「商売の構造が破綻している」について僕の考えを発表していきます。
これは致命的で、開業後に変更が効かないケースが多いし、変更に多額の資金が必要になる場合が多いです。

代表的な破綻ポイントとして

A. そもそも需要がない。
社会全体の需要がない。
開店した地域に需要がない。
需要の喚起も難しい。
需要があったとしても、想定している売価は到底望めない。

B. 開業した業態の競争が激しすぎて利益が確保できない。
強烈な競争相手に戦いを挑んでしまっている。
熾烈な過当競争のしんどさを経営者が理解できていない。

C. 想定通りにお客さんが来てくれても、利益が出せない。
席数が少なすぎる。
売価が安すぎる。
原価率が高すぎる。
家賃が高すぎる。
経費が掛かりすぎる。
人件費が掛かりすぎる。 

A・Bは外部の環境によるところが大きいです。外部の環境の観察・調査ももちろん重要ですが、今日は内部環境だけで完結できるCの「席数が少なすぎる」に対する僕の考えを発表していきたいと思います。

他の要素については次回以降に発表します。

1.席数が少なすぎるとどうなる?

以前の記事にも書きましたが、飲食業の常識である、
○回転率を上げるんだ!
○顧客満足度を上げるために、席はゆったりと。
の二つの考え方は矛盾します。

以前の記事はこちら

この二つを同時にやると、こんな状況になります。

土曜の昼下がり、おしゃれでウッディーなカフェのゆったりとした4名掛けのソファー席で、久しぶりに会った友人と二人でアフタヌーンティーを楽しんでいると、おもむろに店員がやってきて「もうすぐ45分になりますので、ラストオーダーのお時間です。来店より60分になりますとお会計をお願いします。次のお客様がお待ちですので。」

これでも行きたいと思えるほど強い商品があれば良いのですが、あまり気持ちの良いものではありません。
この店に必要なことは「ゆったりとした4名掛けのソファー席」に「2名様」を案内して「お待ちのお客様のために帰ってもらう」ことではない。
「問題のない程度広さの2名掛けテーブルに2名様をご案内して、心ゆくまでお話ししてもらう」ことでしょう。

2.席数が少なすぎる原因

○イメージ先行で実際に売上を計算できていない。
やりたいことにこだわりすぎるパターンですね。あとで実際に計算するので、それを確認したうえでどうしてもソファー席が譲れないようでしたら、客単価を大きく上げる方法を考えましょう。

○席数が多すぎるとオペレーションが回るか不安。
最初はスムーズに回すことは難しいかもしれませんが、3カ月もやればできるようになります。事前の訓練とオペレーションの効率化を考えてみてください。

○厨房メインで考えて、残ったところを客席にする。
料理がバリバリできるかたに、ありがちです。
僕もホテルのレストランの厨房で働いたことがありますが、とてつもなく広いです。厨房だけで30坪以上あったのではないでしょうか?
そういう職場で仕事を覚えた一流の料理人がお店を持つときに、どうしても必要な厨房機器を先に考えてしまいます。

○店舗の形状的に多くの席数が取れない。
これは致命的です。店舗物件を契約する前に何席必要かを計算して、工務店とその席数が取れるかをよく打合せしてから、物件の契約に臨みましょう。

どの場合もあとで席数を増やすことはなかなか難しいでしょう。
最初から閑散期と繁忙期、平日と週末は席数を変えるように設計していれば別ですが、大掛かりな工事が必要になる場合も多いです。

3.実際に計算してみよう

かなりざっくりとした試算です。
影響がわかりやすいように税金や減価償却費は残りの部分に入れてますので、「残り」がそのまま「経営者の労働の対価」という概念ではないです。
「残り」から10~20万円くらい引いてもらったら、イメージが近いかもしれません。

条件:
ざっくりの計算です。
15坪 家賃15万円で試算
業態 居酒屋
アルバイト時給 1,100円
水道光熱費 4%~6%くらい
雑費・消耗品費 感覚で

当然ですが、 売上 = 客数 × 客単価  です。
売上 = 客単価 × 客席数 × 回転率 
 これも、もちろん正しいのですが、客席の稼働率を見落としがちになる欠点がありますので気を付けてください。

4名掛けのテーブルに2名様だと稼働率50%です。
お客さんのすべてのグループが一度入れ替わっても稼働率が低い場合は、客数が大きく減ります。
4名掛けテーブル席 × 2卓
カウンター席 × 7席
合計15席のお店だと、一度の満席状態で、総客数9名様とか普通にあります。
1回転っていうのは15人の来店があったことであって、グループがすべて入れ替わったという話ではないです。

(計算上0.5人って出てますが、子どもではないです。)
15席

この計算だと経営を続けていくのは正直難しいですね。
週末は満席状態でお断りしているお客さんや、「カウンターはイヤです」と帰られるお客さんもあるでしょう。
平日はあまりお客さんが来ない。週末はお断りする。
客単価を上げるしかないですが、大幅に上げられるものではないですし、価格が変わるとまったく別の店になってしまいます。

15坪30席の図

数字を変更したところは赤にしています。
平日の来店客数は変えてないです。
2名掛けテーブルや可動式のテーブルをうまく使って、取りこぼしがないようにすると、かなり改善します。
週末は店主とアルバイト2人の3人体制です。
これならやっていけそうです。

15席客単価5,000円

今度は15席のままで客単価を上げてみました。
客単価を上げるので、きっちりとした仕込みや、細やかなサービスが必要だと思い、人を増やしました。
これでもなんとかやっていけそうです。
単価を上げたぶん、それなりの価値の提供ができなければ、もちろん客数は減りますが、客席数の検証なので多めに見てください。

平日0.7回転

これは良い数字ですね。
30席で平日0.7回転です。
週末は4人体制にしました。細やかなサービスができます。
席数が少なすぎると、人気が出ても売上が上振れする可能性が少ないです。
このくらいの残りがあれば、そろそろ社員を雇って、2号店をめざすか!って感じですね。

良い数字。大繁盛。

繁盛にともなって、少しずつ値上げをするのは、ブランド価値を高めるのと、疲労の蓄積の回避の効果があります。
思い切って客単価4,000円にしてみました。
この客単価でこの客数は立派な繁盛店です。
「2号店を出すつもりはない」というかたにとって、最終形態かもしれません。

4.まとめ

席数が少なすぎると夢がなさすぎる。
ゆったりした店で、回転させるためにお客さんを追い出すとか、ちょっとなに言ってるのかわからないです。


それなら無駄に広い非効率な席をやめて、適度な席の配置にすれば良い。
「テイクアウトやUberでそれなりに売れる」という安易な予測による逃げはすごく危険です。

先に席数と客単価を決める。
店舗の契約の前に工務店と打ち合わせを良くしてください。
賃貸契約後に工務店と打合せして、話の流れで席数を決める、なんてのは論外。
じゃあ、工務店が客単価も決めるの?
1皿ずつの料理の単価も工務店が決めるの?
すべてがつながっています。


目安は、客単価5,000円以下のお店は1坪に対して2席です。(1坪は畳2枚分、1.8m×1.8m で約3.3㎡ です)
店舗全体の坪数に対してです。客席部分の坪数じゃないです。
だから厨房がデカすぎるとつらいです。
もちろん滞在時間が短い店で行列してでも待ってくれる店(ラーメン店とか)は別ですが。


この試算は家賃の坪単価10,000円で計算しましたが、僕が活動している大阪市内の1階路面店では、かなりヘンピなところでないと難しいです。
普通の立地なら坪単価15,000円くらいは余裕でします。
1階路面店で集客が見込めるような場所は坪単価20,000円から、って感じです。
家賃が上がるとそれだけ「残り」が少なくなります。


カフェの経営が難しいところはこのあたりにあります。
席数が少ない。客単価が低い。滞在時間が長い。
特別な仕掛けがないとつらいです。
「テイクアウトやUberでそれなりに売れる」という安易な予測による逃げはすごく危険です。(大事なので2回書きました)


あと、居抜き物件も同じ条件で考えてください。
良い内装の居抜き物件でも席数が取れない物件は結構多いです。
居抜き物件の見かたはまた別の記事を書きます。


今日の発表はいかがだったでしょうか?
計算はざっくりなので大目に見てください。
大きくは外していないと思いますが。

 

席が少なすぎるとマジで詰みます。

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